GALLERY TOMO

2024.10.10

近藤大祐 個展 ”Pathways of Memory”

近藤大祐 個展 ”Pathways of Memory”

2024年11月1日(金) – 2024年11月16日(土)
日月火曜日休廊
営業時間 12時→18時

ACK Night out
2024年11月2日(土) 18:00→20:00
同時期に開催されるアートフェア、ACKの関連イベントとして上記時間を営業時間延長します。

ACK
https://a-c-k.jp/

※本展示は、日本美術家連盟 美術家のための支援事業 です。

アーティスト・ステートメント

Pathways of Memory : 記憶のリアリティ

「Drip color memory on XXXX XX,20XX.」

私の作品タイトルに刻まれた日付は、単なる制作日ではありません。それは、作品一つひとつが私自身の記憶の断片そのものであることを示す、記憶の旅程表なのです。都市の脈動、空気の匂い、光と影の戯れ。私の五感を刺激した、あの日、あの瞬間の記憶の断片が、注射器を通して、もう一つの現実としてキャンバス上に立ち現れます。

すべての創作の旅は、現実の風景の撮影から始まります。しかし、コンピュータ上で再構築された風景は、単なる記録ではありません。注射器から滴り落ちる絵具の一滴一滴によって、私の主観的な記憶と感情の色彩に染め上げられていくのです。緻密に重ねられた色彩の層は、時間軸や感情の揺らぎを閉じ込めた、記憶の化石として存在していきます。

俯瞰視点で描かれた街並みは、まるで記憶の迷宮。緻密な色彩の層は、時間軸や感情の揺らぎを留めた、記憶の堆積そのものです。そして、注射器から滴り落ちる絵具の一滴一滴は、鮮烈な記憶の断片としてキャンバスに定着し、現実には存在しない、もう一つの現実を描き出します。

風景を単なる視覚的な対象として捉えるのではなく、私が体験した時間や感情の「道筋」として表現すること。訪れた日付という客観的な情報と、記憶に基づく色彩やテクスチャという主観的な表現。その二つが融合することで、現実の風景を超越し、感情の奥行きと時間の流れを視覚化した、新しいリアリティが生まれるのです。

絵画というイリュージョンを通して、私は記憶と現実、そして主観と客観の間を自由に行き来します。一見抽象的に感じられる表現も、私にとっては現実と地続きの、リアルな感情の表れなのです。絵の具の物質感が織りなすマチエール、側面にまで展開される絵具の広がり。それらは平面を超え、私の内面世界をより立体的に表現する重要な要素となっています。

本展「Pathways of Memory」は、私自身の記憶の旅路であると同時に、鑑賞者一人ひとりの記憶を呼び覚ますための invitation でもあります。写真では決して伝えきれない、生で見た時の作品のマチエール、そしてそこから立ち上る記憶の断片を、ぜひ会場で体感してください。

近藤大祐