GALLERY TOMO

2022.8.29

町田 藻映子 個展 何時からそこに居たのか 何時までそこに居るのか


町田 藻映子 個展 何時からそこに居たのか 何時までそこに居るのか
2022年9月24(金)~10月8日(土)
13:00―18:00
金土日のみ営業

トークイベント: 10月2日(日) 17:00-18:00
ゲスト: 吉岡 洋 (美学者/京都芸術大学 文明哲学研究所 教授)

展示にあたって

この度GALLERY TOMOではおよそ3年ぶりとなる町田藻映子の個展を開催する。

愛知県出身の町田藻映子は、京都市立芸術大学で日本画を専攻し、さらに京都大学大学院にて植物の研究生として学びを経て「自然世界におけるあらゆる生命活動エネルギーの可視化」というテーマで一貫して制作を行っており、またコンテンポラリーダンスと舞踏等の身体表現を通じた感覚的なアプローチも行う。

描かれる内容としては鉱石・鉱物が主なモチーフとなっている。その鉱石から成る日本画の技法や素材を用いて制作する町田の作品をみていると、テーマに加えてもう一つ隣り合うように、生命のヒストリーに対するもう少しマクロな視点が浮かび上がる。

町田は美術史に対してさして興味を示さない。人が人を批評することに対する違和感等ももしかしたらあるかもしれない。だがそれはテーマが個人的な探求に向いているためだ。
絵描きは自らの内側と対話し、言葉と離別した表現を行う存在だ。しかしながら、ダンスや舞踏による表現のアプローチというのは単なる視覚に支配された絵描きとして在り方に縛られることなく、彼女の感覚を掴む上での必須の作業なのだろう。
町田の仕事のスタンスとこの俯瞰された視点から画面に見えてくる大局的な印象のアンビバレンスが興味深い。

そして何より象徴的な青色が目を引く。幼少の頃より死者の存在を無視できずにいると述べる町田は、死者の実在を示す色として青を使う。ユングはピカソの青は「冥府の青」であると著作において述べている。批評家小林秀雄はさらにドストエフスキーの著作からも同じ冥府の色を感じると述べる。
我々に寄り添う無数の触れ得ない魂の存在を感じて、我々は何を思うか。去っていった大切な魂に接近してもはやかなわない触れ合いを思い、悲しむのか。または知り得ない他者の歴史から人類を考えるのか。死者の臨在を感じることは、死者と共生することだ。町田の作品はそうした死者と出会った生者の物語であろう。

改めて、絵画は見られるものであると同時に、我々を推し量る鏡なのだと思わされる。

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青山知相