GALLERY TOMO

2020.10.18

篠原 猛史 「可視の臨界点」

篠原 猛史 「可視の臨界点」
2020年11月14日(土)~28日(土)
月・火曜休廊
13:00-19:00 最終日17時迄

※要予約
・お越し頂ける方は、以下のフォームよりご希望の来廊時間をお問合せ下さい。
・マスクの着用と検温にご協力下さい。ご予約の時間に来られない場合キャンセルとさせて頂きます。
https://gallery-tomo.com/contact/

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風、火、水、音などの自然界に見られるさまざまな要素によって特徴づけられる篠原の作品群は、作者の思いを鑑賞者に対して一方的に提示するものではなく、特別な仕掛けを用いるわけでもなく、鑑賞者が作品と向き合うことで明らかになる。作品という現象のなかに興味深く入り込み、アーティストと共感(エンパシー)を得ることで、我々は却って「見る」という行為を純粋に楽しみ、感覚を解きほぐしながら環境の中に新しい発見や体験をする機会を得ることができる。作品はきっかけに過ぎない。

これは昨年の展示でも同じことを申し上げた。そしてこの一年間で世界は苛烈な変化に見舞われ、特に新型コロナウイルスが社会へ与えた影響の大きさは計り知れない。
様々な意見や時に争いが起き、グローバリズムは寸断され、意見交換もままならず選択した施政者に運命を委ねる時代だ。しかし、ウイルスが歴史の行方を決めるわけではなく、決定するのはやはり人間である。

様々な環境の中、様々な人間が住むこの世界で、感染症に対しては正しい科学的なアプローチで臨み、異なった価値観の人間同士が手を取り合って対処しなければならないのがウイルスだ。しかし現実に我々は手を取り合うことは非常に難しい。なぜならこの世界において科学が及ばない領域も大きいからだ。

人によって、必要なもの不必要なものがある。この目の前の危機に連日曝され、いよいよ思考を放棄したり、存在自体に疑いを持ったり、はたまた人間自体が儚いものだという自覚を深めたり、ものや命の価値が揺れ動く。

そんな中、一見取り上げる価値のないと思われるものを一つの文化史として浮上させる、パサージュ論的な、そういった思考の転換がアートの役割のひとつではないかと考える。

ギャラリーが社会から切り離されたアートを鑑賞するためだけの空間ではなく、人間が社会や自然環境と深く関わりながら生きることの可能性を、展示を通して改めて提案したい。

篠原は東京大学においても授業、ワークショップ形式の講座を開いている。触発と創造の為の芸術ワークショップと題したもので、この講座は学生だけでなく社会人も参加できる。さまざまな立場の人々が参加する中、作品を介して内と外を隔てることなく水平的に作品を通じて人々の思考の幅を刺激する、アートの社会的機能を示すものである。
また、京都ではRESI STAY弘庵別邸という部屋が4つあるホテルの客室に篠原の作品が常設されている。こちらも機会があれば是非ご覧になってほしい。

GALLERY TOMO
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篠原猛史
アーティストホームページ
https://www.takeshishinohara.com/