GALLERY TOMO

2018.4.11

KG+2018 Award 杉山 有希子「CRASH」


杉山 有希子「CRASH」
2018年4月11日 ー 4月22日
12:00-19:00 日曜日17時迄
閉場日 4月16日、17日
濃密な森林に覆われたクラシックカー、渇いた砂漠に佇む爆破処理された爆撃機、船体を海中に横たえ徐々に朽ち果てゆく廃船。それらは環境に侵食され、同化する。杉山有希子は京都、ロサンゼルス、NYを旅する中で、役割を終え、環境の循環の中へと身を委ねていく機械と対峙し、作品を制作する。まるで空想科学小説のような光景を赤外線やドローンを駆使して撮影し、それぞれの物語の要素を記録する。本展では、人と機械の相互依存的関係性とそれらが終焉へと向かう無情な進行を探求する。
杉山 有希子 CRASH
ディストピア的なリアル

 人の気配のない砂漠や密林のなかに無造作に現れる機械たちの写真は、彼らを形作る同質の金属の構造物の間にそれぞれ据え付けられ、存在を誇示する。
 
 杉山の”写真”という手段によって記録と同時に、外界へと連れ出された彼らの素性は、人や物を運ぶために産まれたもの、命を殺めるために造られたもの、元は何だったかわからないものもいる。
 彼らのもはや役割を失い、自然の原理の中に身を置く以外に道はないようにみえる姿は、自然と文明の微妙な関係性を示す。一方、彼らの運命を生産した人間は勝手気ままに生きる。生活の枠組みがいつどのように変わるかもわからないのに。
 先頃、亡くなった物理学者スティーブン・ホーキング博士は「科学が存在しなければ、この世界は虚構に過ぎない」と述べていた。では、この世界でわれわれはどうすれば存在の証明を果たせるだろうか。
アートが地球史において果たしてきた役割はもはや尊いものだ。科学だけでなく、アートがどのように社会にとって役立つものか考察する必要がある。
 人々が日常を過ごすなか、同じ時間を彼ら役割を終えた機械たちも平等に過ごしている。
現実は見る者の見方で決まる。これはアートに限らず全てにおいて同様だがアートはその解釈の幅を拡げることができる。本展示は、ヒューマニズムのみならず異質のものにも等しく委ねられた同質の時間とわれわれとの相互バランスを表現した、この世界のリアルである。
GALLERY TOMO
Director | 青山 知相
杉山 有希子 Yukiko Sugiyama  
1985年京都生まれ、京都とロサンゼルスを拠点に活動
2011年金沢美術工芸大学・大学院美術科彫刻専攻修了
2012個展 ワタナベファインアートギャラリー、大阪
グループ展、アートフェア出展多数
受賞
2017 ARTISAN & ARTIST Photo Contest, 代官山北村写真機店賞、日本
2018 IPOTY – International Photographer of the Year, USA
https://www.yukikosugiyama.com
KG+2018 Award
http://www.kyotographie.jp/kgplus/